無償譲渡・低額譲渡・高額譲渡の整理(①個人⇒②法人へ)

「①個人」から「②法人」へ資産の譲渡があったときの、無償譲渡・低額譲渡・高額譲渡の論点を整理します。

無償譲渡=贈与の場合(取得価格:1,000、実際売買価格:0円、適正時価:4,000)

①個人(譲渡者)

・(4,000-1,000)に対して譲渡所得が課税される。【所得税法第59条第1項第1号】

※資産が棚卸資産の場合は、「通常販売価額のおおむね70%」に対して事業所得が課税される。【所得税法第40条第1項第1号、所得税基本通達40-2、40-3】

②法人(譲受者)

・4,000に対して法人税(受贈益)課税

※取得価格は適正時価の4,000となる。

※同族会社の場合、その株主は価値増加分に対して贈与税が課税される。【相続税法第9条】

実際売買価格が0円~適正時価の1/2未満の場合(取得価格:1,000、実際売買価格:1,500、適正時価:4,000)

①個人(譲渡者)

・(4,000-1,000)に対して譲渡所得が課税される。【所得税法第59条第1項第2号、所得税法施行令第169条】

※資産が棚卸資産の場合で、「1,500<通常販売価額のおおむね70%」のときは、その差額に対して事業所得が課税される。【所得税法第40条第1項第2号、所得税基本通達40-2、40-3】

②法人(譲受者)

・(4,000-1,500)に対して法人税(受贈益)課税

※取得価格は適正時価の4,000となる。

※同族会社の場合、その株主は価値増加分に対して贈与税が課税される。【相続税法第9条】

実際売買価格が適正時価の1/2以上~8割程度以下の場合(取得価格:1,000、実際売買価格:2,500、適正時価:4,000)

※時価の8割程度が著しい低額の目安となる(判例より)。具体的な金額基準は定められていない。

①個人(譲渡者)

・(2,500-1,000)に対して譲渡所得が課税される。

※法人が譲渡者の同族会社等に該当する場合には、時価による譲渡があったものとして譲渡所得税が課される可能性あり。【所得税法第157条、所得税基本通達59-3】

※資産が棚卸資産の場合で、「2,500<通常販売価額のおおむね70%」のときは、その差額に対して事業所得が課税される。【所得税法第40条第1項第2号、所得税基本通達40-2、40-3】

②法人(譲受者)

・(4,000-2,500)に対して法人税(受贈益)課税

※取得価格は適正時価の4,000となる。

※同族会社の場合、その株主は価値増加分に対して贈与税が課税される。【相続税法第9条】

実際売買価格が適正時価の8割程度以上~適正時価の場合(取得価格:1,000、実際売買価格:3,500、適正時価:4,000)

①個人(譲渡者)

・(3,500-1,000)に対して譲渡所得が課税される。

※法人が譲渡者の同族会社等に該当する場合には、時価による譲渡があったものとして譲渡所得税が課される可能性あり。【所得税法第157条、所得税基本通達59-3】

②法人(譲受者)

・(4,000-3,500)に対して法人税(受贈益)課税

※取得価格は適正時価の4,000となる。

実際売買価格が適正時価を超える場合(取得価格:1,000、実際売買価格:8,000、適正時価:4,000)

※「適正時価での売買」と「②法人から①個人への現金贈与」を同時に行った場合と整合する。

①個人(譲渡者)

・(4,000-1,000)に対して譲渡所得が課税される。

・譲渡者が法人の役員・従業員の場合は、(8,000-4,000) に対して給与所得が課税される。

・譲渡者が上記以外の場合は、(8,000-4,000) に対して一時所得が課税される。

②法人(譲受者)

・譲渡者が法人の役員の場合は、(8,000-4,000)が取得価格ではなく役員給与扱いとなる。

・譲渡者が法人の従業員の場合は、(8,000-4,000)が取得価格ではなく従業員給料扱いとなり、損金算入。

・譲渡者が上記以外の場合は、(8,000-4,000)が取得価格ではなく寄付金扱いとなり、一部損金算入。

※取得価格は適正時価の4,000となる。