節税策一覧

法人／個人事業主 共通

●中古車の購入

●短期前払費用（家賃等の年払い）

●30万円未満の固定資産の購入

●経営セーフティ共済

●小規模企業共済

●家族に給与・賞与を支給して所得分散する

●従業員へ決算賞与を支給 ▼クリックすると開きます

業績が好調だった場合に、従業員へ決算賞与を支給することで利益還元しつつ節税にも繋がる方法です。決算日までに賞与を支給することが原則ですが、以下①～③の要件を満たす場合は、未払いでも経費に入れることができます。

①事業年度終了の日までに支給額を、同じ時期に支給する全従業員に対して各々通知していること。
②通知した金額を、事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に全額支払うこと。
③通知した金額について今期中に損金として経理上の処理をしていること。

●貸倒引当金 ▼クリックすると開きます

期末に売掛金（売上の未入金）などの未回収金額がある場合は、回収できなかった場合に備えて、未回収金額に一定割合※を掛けた金額を経費にすることができます。
※業種により異なりますが、法人の場合は0.6%～1%程度、個人事業主の場合は5.5%が一般的です。

●返品調整引当金 ▼クリックすると開きます

商品販売後、無条件に返品を受け入れる慣行のある業種（出版、製薬、化粧品、アパレル業など）において、期末売掛金の粗利益部分に一定割合を掛けた金額を経費にすることができます。
※この制度は廃止されることが決まっています。2019年4月開始事業年度から10年間かけて段階的に経費にできなくなり、最終的に廃止される予定です。

●棚卸資産の低価法採用 ▼クリックすると開きます

棚卸資産の評価とは、商品や原材料などの在庫の簿価を算定することです。
評価の方法は、事業開始時に何も手続きをしていない場合は、「最終仕入原価法」という方法で算定することとなります。
この評価方法は、あらかじめ申請をすることにより「低価法」に変更することが可能です。
期末の在庫金額の評価額が下がれば、その分売上原価（期首在庫＋当期仕入－期末在庫）の金額が大きくなるので、節税につながるという寸法ですね。
※青色申告者でなければ「低価法」を採用することはできません。

●棚卸資産の評価損・廃棄 ▼クリックすると開きます

商品の損傷・陳腐化などの一定の場合に、評価損失を計上できることがあります。
また、売れるか分からないものを保有するくらいなら、タダに近い金額で売却したり廃棄処分をすることで損失を出すことも一つの策でしょう
なお、こういった評価損・廃棄損は証拠書類を残すことが必須なので注意が必要です。（廃棄処分の場合は廃棄の証明書など。）

●不要固定資産の除却 ▼クリックすると開きます

売却したり廃棄処分をすることで損失を出す⇒節税に繋げることができるのは、棚卸資産だけでなく固定資産も同様です。
なお1円まで償却している固定資産（機械・設備など）については、廃棄したところで法人税の節税効果はほとんど無いですが、固定資産税については節税できる可能性があります。
※固定資産税（減価償却資産）の評価額を計算するに当たっての減価償却計算は会計・法人税の計算方法とは異なり、MAXでも取得額の95%までしか償却されないためです。

●税抜経理の採用 ▼クリックすると開きます

10万円未満の備品を購入した場合は、固定資産として計上せず「消耗品費」の経費の科目で即時に経費にできますが、この「10万円」のラインは会社の経理方針【税抜経理／税込経理】で異なります。例えば本体価格99,000円（税込108,900円）の備品を購入したときは、税込経理だと固定資産になりますが、税抜経理だと本体価格での判断になるため、経費として処理してOKとなるのです。
また、法人の場合は交際費の金額が年度で800万円を超える部分は税務上の経費にできませんが、この「800万円」の考え方も同上なので、税抜経理の方が有利になります。

●給与・社保・労働保険・固定資産税の未払計上 ▼クリックすると開きます

▶給料の締日・支払日が、例えば【当月締め・翌月25日払い】などの場合には、決算月の分の給料は未払いではあるものの支払義務は発生しているので、経費にすることができます。
▶社会保険料（健康保険料・厚生年金保険料）は、口座振替にしている場合当月分は翌月末に引き落とされますので、決算月の分の考え方は給料と同じです。（ただし経費にできるのは会社負担分のみで、従業員負担分は当然経費にできません。）
▶労働保険料（雇用保険料・労災保険料）は、金額により３回に分けて分割納付することができますが、決算日時点で期限が到来しておらず未払いの分は経費にすることができます。また労働保険の申告期間は6/1～7/10ですが、計算対象期間は4/1～3/31なので、4月に入れば納税金額を計算することは可能となります。つまり、申告前でも金額を計算できるのなら、経費にすることは可能です。
▶固定資産税は、4回に分けて納税することができますが、労働保険料と同じように決算日時点で期限の到来していない分の納付書があれば、その分は経費にできます。

●税務上の特別措置（税額控除）の利用 ▼クリックすると開きます

政策目的などのため、一定の投資等をした場合に税額控除を受けられる場合があります。ポピュラーなものは以下の通りです。
▶所得拡大促進税制：正社員雇用などにより前年に比べ人件費が増えた場合に要件を満たす可能性があります。
▶中小企業投資促進税制：160万円以上の機械、120万円以上の工具、70万円以上のソフトウェア、貨物自動車を取得（または製作）した場合に要件を満たす可能性があります。
▶試験研究費の税額控除：研究開発を行っている企業や、大学などと共同研究している企業は要件を満たす可能性があります。

●事務所の修繕や広告宣伝を実施する ▼クリックすると開きます

▶事務所の修繕：原状回復費用（壁の塗り替え、棄損した床や窓の取り替え、クロスの張り替え等）は、修繕を行ったときに経費にできるので、例年になく利益が出たときに実施するのも一つの策です。なお、改装・改良やグレードアップに係る修繕の場合で20万円以上のときは、資産計上⇒減価償却が必要となる場合もあるので注意が必要です。
▶広告宣伝：広告宣伝費も、広告宣伝を実施したときに経費にできるので、例年になく利益が出たときに実施するのも一つの策です。ただし『実施したとき』が経費計上のタイミングなので、例えば年度末ギリギリで支払いを行っても、年度末までに広告が出ていなければその期の経費にはできないので、この点は注意が必要です

●【注意】間違った節税策

法人のみ

●社宅の活用

●旅費規程の活用

●役員（自分）にボーナスを支給

●決算期の変更（売上が大きい月の前に締める）

●給料・賞与の設定を工夫する（社会保険料の節約）

●企業型確定拠出年金、iDeco+（イデコプラス） ▼クリックすると開きます

・企業型確定拠出年金（企業型DC）
企業が毎月掛金を拠出し、従業員が自ら資産を運用する年金制度です。
企業型DCは従業員の福利厚生を目的として主に大企業で導入されている制度ですが、一人社長の会社でも加入は不可能ではありません。
ただ導入するとなると、初期費用のほか導入後には経常的な管理手数料も発生するので、あまり気軽に導入できるものではないでしょう。
・iDeco+（イデコプラス）
これまで個人負担だったiDeCo掛金の一部を法人が負担できるようになるという制度です。
2018年5月からスタートした、比較的新しい制度となります。
企業型DCと比べると月額掛金の上限は少なくなりますが（MAX55,000円⇒23,000円）、導入手数料や管理手数料は大幅に安くなります。※ただし会社ではなく社員（役員）が費用負担することになります。

●分社化する ▼クリックすると開きます

利益が多額になってくると、分社化することで以下のような節税メリットが生まれる可能性があります。
・法人税・事業税の超過累進税率（所得の大きい部分に高い税率がかかる）の観点から適用税率が低くなる。
・交際費の損金算入限度額800万円の枠が増える。
・新しくできた法人の最初の2年は消費税が免除される可能性あり。
ただし以下のようにデメリットも多いので、十分に検討する必要があります。
・設立費用と手間がかかる。
・均等割（赤字でも納めなければいけない税金）が二重に発生する。
・決算作業、社保＆労務手続、登記手続などの経営に係る手続き・作業が二重に発生し、手間もコストもかかる。
・会社が異なることで黒字と赤字を通算できず、むしろ税金が増える可能性がある。
節税策の一つとして紹介しましたが、分社化は節税目的ではなくそれ以外の効果（成果や責任の明確化、意思決定スピードの向上）を目的として行うべきでしょう。

●退職金の支給 ▼クリックすると開きます

退職金を支給することで、法人はその分は当然経費になりますが、一方で退職金を受け取る個人に対する課税は非常に優遇されており、一切課税されないことも珍しくありません。
そして、退職金は社会保険料の対象外でもあります。
したがって、退職金は節税メリットの大きい手法ではありますが、当然『退職』という実態が必要なので、会社を畳む最終段階とか、子どもに経営権を譲るとかいった『限定された局面』のみ使える節税策と言えるでしょう。
なお、退職金を支給する際の適正額としては、「功績倍率法」で計算するケースが多いです。
・最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率
※「功績倍率」は創業者など特に貢献の大きい者で『3』程度とされています。

個人事業のみ

●国民年金の付加年金（国民年金基金との併用不可）

●国民年金基金（一口目は付加年金が含まれる）

●マイクロ法人の活用

●平均課税を利用（印税等、3年以上の期間の契約金等） ▼クリックすると開きます

臨時的に収入が増えた人や年によって収入の変動が激しい人には、特別な税金の計算方法が用意されています。
この制度を簡単に説明すると『急に所得が増えた場合は直近3年間の平均所得をベースにして、その平均を上回って増えた所得は、5年で振り分けたことにして税率を決める』という制度です。以下のような収入がある人が、この制度の対象となる可能性があります。
変動所得：作家・作曲・著作権収入、漁業・養殖事業収入など
臨時所得：プロスポーツ選手の契約金、不動産の権利金・頭金、損害補償金など

●退職給与引当金 ▼クリックすると開きます

青色申告の特典として『従業員の退職に備えて一定の額を引き当てたときは、申告書への明細の記載を要件として、引当金繰入額を経費計上できる』という制度があります。
その金額の計算方法については複雑なのでここでは解説は省略します。なお青色事業専従者はここでいう”従業員”には該当しません。

サラリーマンでも誰でも可能

●医療費控除

●住宅ローン控除 ▼クリックすると開きます

住宅ローン控除とは、『住宅ローンを組んで自宅を取得した場合、住宅ローン年末残高の0.7～1%について、一定期間所得税・住民税から控除できる』という制度です。
適用できる住宅ローン年末残高の限度額は2,000万円～5,000万円となっており、居住年度、住宅の構造や省エネへの対応等で限度額は異なってきます。
2022年居住分からは、住宅ローン残高に乗じる割合も1%から0.7%に減少しました。一方で適用できる期間については、最大13年まで伸びました。
所得制限があり、所得2,000万円超の人は住宅ローン控除の適用を受けることはできない点には注意が必要です。

●生命保険料控除：特に明治安田生命の「じぶんの積立」 ▼クリックすると開きます

明治安田生命の「じぶんの積立」という個人年金保険は、『生命保険としてほぼ機能していないが、満期前に解約しても元本割れしない』という珍しい特徴があります。保険というよりも、ほぼ定期積立預金の感覚ですね。
一方で生命保険料控除の対象にはなるので、この保険に加入している人の多くは、生命保険料控除の枠を使い切る”節税目的”で加入しているものと思われます。
この保険で享受できる生命保険料控除はMAXでも4万円なので、節税メリット額も大したことは無いですが、リスクは無いので安定志向の方には良い策かもしれません。
なお、他の”本来の”生命保険で生命保険料控除の枠を使っている場合や、「じぶんの積立」の加入後に他の生命保険に加入した場合は、節税メリットが縮減していきますので、この点には注意が必要です。

●扶養控除：親族（親）を扶養に入れる ▼クリックすると開きます

同居し扶養している親を『扶養控除』の対象にすることは当然可能ですが、別居していても扶養の事実があれば『扶養控除』の対象にすることは可能です。
税務署職員自身も、この扶養控除を最大限活用していると言われています。

●社会保険料控除：家族分の社会保険料を控除する

●ふるさと納税

●iDeco

●NISA

●株式の配当金収入がある場合、所得税は確定申告し、一方で住民税は確定申告しない。

サラリーマンのみ可能

●20万円以下の給与所得以外の所得は確定申告不要の場合が多い ▼クリックすると開きます

会社員は、会社が行ってくれる『年末調整』で税務署等への報告が完了するので、基本的に確定申告は不要です。
そのような年末調整で完結する人については、事務簡便化の観点から『20万円以下の給与所得以外の所得は確定申告不要』という制度があります。
この制度を踏まえると、例えば副業所得がある人は金額を20万円に抑えることが節税につながるわけです。ただし以下の点には注意が必要となります。
・住民税には申告不要の制度はありません。つまり副業所得がある場合、住民税は金額にかかわらず申告が必要となります。
・『20万円は非課税』という制度ではありません。申告不要となったため結果として課税されないだけです。例えば会社員でも医療費控除を受けるために確定申告する場合で副業所得もあるときは、金額にかかわらず副業所得も申告する必要があります。
・同族会社の役員等でその同族会社からの収入・所得がある場合は、金額にかかわらずその所得を申告する必要があります。
・会社員でも年収2,000万円以上の人は確定申告義務があります。したがって副業所得も金額にかかわらず申告する必要があります。

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