小規模企業共済のデメリット(特に掛金減額時)

個人事業主や会社経営者にとって「小規模企業共済」はメリットが大きい制度です。

「小規模企業共済」の概要についてはこちらの記事をどうぞ⇒小規模企業共済による節税とは?【個人事業主・法人役員の節税策】

非常に良い制度ということで税理士としても顧客にオススメすることは多いのですが、デメリットや注意点もありますので、今回そういったマイナス点を中心に解説いたします。

減額したときに運用されなくなる部分が生じる

小規模企業共済の掛金を減額した時に生じるデメリットの一つとして、「減額分の運用が止まってしまう」というものがあります。

例えば、月額4万円で新規加入し、3年目に入ったところで月額1万円に減額するケースを想定すると・・

3年目以降、この赤枠で囲っている部分(3万円×24か月=72万円の部分)の運用がストップするのです。

なぜこのような仕組みになっているのかは理解に苦しむのですが、減額しなければ予定利率(記事執筆時点で1%)で運用されるはずだったので、それが失われることになります。

なお、いったん減額してもまた増額すれば運用は再開するので、あくまでも『一時的に』減額する場合であればそれほど気にしなくても良いかもしれません。

減額したときに任意解約時の元本割れリスクが高くなる

小規模企業共済は、任意解約をするときでもその時点で240月以上経過していれば元本割れはしない(100%以上戻ってくる)というのがありますが…

もし小規模企業共済の掛金を減額した場合は、減額部分は納付月数としてもカウントされなくなるというデメリットがあります。

具体的には、先ほどの図でいうところの赤枠部分は3年目以降、月数カウントされなくなるわけです。

したがって、例えば図のように3年目に1万円に減額し、新規加入から満20年経ったときに解約するとした場合、1万円×20年×12か月分は元本割れしませんが、赤枠で囲っている部分は大きく元本割れすることになります。

(具体的には、月数カウント12か月未満の部分は一切戻ってこず、12か月以上~84か月未満の部分は80%しか戻ってこないことになります。)

解約時の課税や受け取るまでのタイムラグを考えると本当にトクしたと言えるのか

小規模企業共済は掛金を払った時にその全額を所得控除にできるのが大きなメリットですが、その裏返しとして、解約時の受取金は課税対象になります。

所得の種類としては、退職所得or一時所得or雑所得となるので、節税した金額以上に課税されることは通常あり得ませんが、少子高齢化の勢いが止まらない社会情勢なので、退職金課税や年金課税も今後強化される可能性は高いと個人的には思います。

せっかく節税しても、その額と変わらないくらい将来課税されたら、全く意味がないですよね。

ここで注意点は、小規模企業共済を払った時点で目先の節税にはなるので、その時点でトクをしたという錯覚に陥りやすいところです。

例えば本来100の稼ぎに対して30の税金が発生するところを、小規模企業共済に10支払うことで25の税金に抑えられた場合、節税額の5をトクしたような気持になりやすいですが、実際の手持ち資金としては、100-30=70残るはずだったところが、100-10-25=65の手残りになっているので、5だけ減っているのです。

この10は将来返ってくることを期待しているのですが、もしかしたら10に対して4課税されて6しか返ってこないかもしれません。

だとしたら、結果だけをシンプルに見ると「若いころに5を失って、年老いてから6になって戻ってきた」ということになりますが、若いころの5の価値と年老いたときに6の価値を比べると、本当にトクをしたと言えるのでしょうか・・?(インフレも考慮すると尚更?)

株式等で運用した場合と比べれば機会損失などがある

この記事を書いている時点で小規模企業共済の予定利率は1%となっていますが、株式投資した場合の配当利回りに比べればこの利率は低いと言えるでしょう。

もちろん株式投資には所得控除になるような節税効果は無いですが、理論的には、小規模企業共済はせずに「税金を払って残ったお金で株式投資+配当金再投資」の方が成績が良いということは十分にあり得ると思います。

また、株式投資であれば自分の好きなタイミングで売却してお金に換えることも容易なので、急な出費に備えつつも運用する手段としては株式投資の方が良いと思われます。

まぁ株式投資には『価格変動リスク』という大きなデメリットがあるので、そこを受け入れることができる人であれば・・という話ですけどね。

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