国民年金・国民健康保険料の減免制度
会社を退職して、再就職先の見込みは立っていない場合など。
もしくは、会社を退職後独立開業して、初年度はまったく利益が見込めない場合など。
貯金がなければ生活は厳しいものとなりますね。
国民年金・国民健康保険料の納付義務を果たすことが厳しくなることもあるでしょう。
そういったときのために、市区町村にはこれらの減免制度があったりします。
今回はこの件について解説します。
国民年金の減免制度
会社を退職した場合は、国民年金の免除制度があります。これはよく知られている制度であり、活用したことがある人も多いでしょう。
この制度による免除期間は、退職(失業)した年の翌々年の6月までとされています。
なお、この期間が終了してもその時点でまだ再就職できておらず収入が無いような状況であれば、そのときは別の免除制度(所得状況に応じたものなど)を活用できる可能性もあります。
つまり会社退職後は、「全く稼ぎがないのに納付を求められる」といったことは無いと考えて大丈夫ということです。こういった点は安心ですね。
なお、免除を受ければ将来もらえる年金も減りますが、それはやむを得ないでしょう…
国民健康保険料の減免制度
これはあまり知られていないと思うのですが、国民健康保険には「所得減少」による減免制度というものがあります。
例えば福岡市の場合は、以下のように公表されています。
種類 | 減免事由 | 減免内容 |
所得減少 | 今年中※注1の見込み所得※注2が420万円以下で、その所得が前年に比べて30%以上減少する場合 | 所得減少割合に応じて、所得割額の10%~100%を減免 |
会社を退職した人のその後の健康保険の選択肢としては、
- 今まで加入していた会社の保険を「任意継続」する
- 市区町村の国民健康保険に加入する
の2つを比べて「有利な方を選択する」という考え方が基本だと思います。会社を辞める時に、総務担当の人などから説明を受けることも多いでしょう。
ただ実際は、市区町村の国民健康保険に加入する場合は、さらにこの所得減少による減免制度も活用できる可能性があるわけです。
具体的にどれくらい減免されるかは市区町村に相談してみないと分からないところですが、今年の見込み所得が低いほど、さらに前年対比の所得減少率が高いほど、減免される割合は高くなっていきます。
退職前の稼ぎが多かった人は、任意継続だろうが国民健康保険だろうが、保険料が相当な高額になることは珍しくないので、そういった方にとってはこの減免制度を活用できるかどうかで年間数十万円の差になることも十分考えられるわけです。
なお、会社退職後独立開業して初年度は稼ぎが全く見込まれない場合でも、この制度を活用できる可能性はあります。
自治体からは積極的には案内されていないマイナーな制度ですが、人によっては影響額も大きなものとなるので、頭に入れておいて損は無い制度と言えるでしょう。