自賠責保険は前払費用としなくてよい?(短期前払費用?)
法人税法や消費税法には「短期前払費用」という考え方があります。
「短期前払費用」とは、『支払った事業年度に一括で費用計上できる』という便利な制度で、その詳細については以前の記事で説明したとおりなのですが、ここで説明している要件の一つとして
③支払った日から1年以内に提供を受けるサービスに係るものであること
が挙げられています。
それでは、自動車購入時の自賠責保険料はどうでしょうか?
自賠責保険の更新タイミングは、新車なら購入から3年目、中古車なら2年目、そして2回目以降は2年ごとにやってきます。
厳密に考えると、「短期前払費用」の上記③の要件を満たさないので、前払費用として計上する必要があるように思われますね。
しかし、実務上は支払った時の一時の経費として処理しているケースが大半です。
これはどういった根拠に依るものなのか?について、今回は解説いたします。
参考書籍:ケーススタディ税理士実務質疑応答集[法人税務編]
こちらの書籍「ケーススタディ 税理士実務質疑応答集 法人税務編 令和5年度版」では以下の旨記載されてます。(P28-29)
・・自賠責保険料の未経過分についても、①保険期間は最長3年であり、保険料も少額であること、②加入が義務化されていること、③支払わないと購入や車検が通らない等で、重要性の原則に照らし、法人が継続適用を条件に支出時の損金として、その処理が認められると思われる。
(中略)
・・自家用乗用車を多数所有する場合には、自賠責保険期間が3年で、保険料の金額が重要性の原則に照らしても高額になる場合には、前払保険料の計上が必要になると思われる。
「ケーススタディ 税理士実務質疑応答集 法人税務編 令和5年度版」P28-29
つまり、ポイントは「重要性の原則」であると主張されています。
「重要性の原則」は、企業会計原則の注解として定められているものですね。
法令でもなく、通達でもありません。会計処理の話です。
『会計処理の考え方として妥当なんだから、税務上も当然認められるでしょう?』という、なかなか『ハッキリとした根拠』とは言いづらいところですね。
そもそも『重要かどうか』という判断基準も、会計上明確にされているわけでもないので、そういう意味でも曖昧なところです。(会計監査上は税引前利益×5%とかの慣行はありますが。)
…ということで、まぁ自賠責保険料くらいであれば税務当局との見解の相違が発生する可能性は低そうですが、この考え方を援用して他の2年以上の保険料も同様の考え方とするのはリスク高いだろうなぁ、と個人的には思います。
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