【過大役員給与】実質基準・形式基準

役員報酬が『不相当に高額』であるとして、税務調査で税務署から否認されることがあります。

この論点を「過大役員給与」といいます。

役員報酬を支払っている以上、どんな会社にとっても無関係とは言えないリスクです。

これから、この論点について連載記事で解説したいと思います。

形式基準

「形式基準」とは、会社法に照らして報酬額が妥当かどうかを判定する考え方です。

『会社法に照らして』とは具体的にどういうことかと言うと…

まず役員報酬は、会社法で『定款または株主総会の決議によって定める』旨が記載されています。

実務上は定款で定めるケースはほとんどなく、株主総会の決議で定めるケースが大半かと思いますが、形式基準とは『この決議で定めた金額を超えていないかどうか』という考え方です。

形式的なことのため、解釈が分かれず判断基準が明瞭なので、争点になることは少ないです。

実質基準

この「実質基準」が、解釈が分かれて争点になり得るところです。

役員の職務に対する「相当額」を以下の要素を踏まえて検討し・・・

  • その役員の職務の内容
  • その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況
  • その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、その役員の職務執行対価として相当な金額

この「相当額」を超える部分を「不相当な高額部分」として否認する考え方が、実質基準です。

納税者(社長)

売上や利益水準からみて、自社の役員報酬は妥当な金額だ!!

税務調査官

いや、同業他社と比較すると高すぎでしょ。

このように、何が「相当な金額」なのかについては、解釈が分かれて揉めやすいところです。

場合によっては、裁判にまで発展し争われることもあります。

次回以降の記事では、具体的な裁判例などにも照らして、「相当な金額」とは何か、もっと深堀したいと思います。