配当金は確定申告すると得をする?
トヨタ自動車、ソフトバンク、JAL、東京電力など・・・
こういった上場している会社の株式は、証券会社に口座を開設することで、誰でも購入することができます。
株式を持っていることのメリットはいくつかありますが、その一つ「配当金を貰うことができる」というのは大きなメリットです。
この配当金は基本的には確定申告不要なのですが、あえて確定申告することで得することがよくあるのです。
今回は、この件について解説します。
※2023年分の確定申告より、所得税と住民税の課税方式が一致されることとなりました。つまり、以下に説明する『住民税を申告することによるデメリット』も合わせて検討する必要があることに注意が必要です。
配当金と税金の仕組み
上場株式を持っていて配当金を貰った場合は、すでに所得税(15.315%)と住民税(5%)が天引きされています。
合わせて20.315%も既に天引きされているので、確定申告しなくてもOKというルールになっているのです。
一方で、配当金はあえて確定申告することもでき、その場合は「配当控除」というメリットを受けることができます。
【配当控除とは】
配当金の額の10%を所得税から差し引くことができます。
※REIT(のETF)の分配金や、外国会社(のETF)の配当金は配当控除の対象外です。分離課税で申告した場合も対象外となります。課税総所得金額等が1千万円超の場合は控除率が変わってきますが、ここでは説明を省略します。
・・・つまりどういうことが考えられるかというと、
配当金100万円を確定申告した結果、所得税は20万円増えたけど、配当控除で▲10万円のメリットを受けることができて、納めるべき所得税は10万円となった。天引きされている所得税は15.3万円なので、5.3万円ほど戻ってくる!
という展開も考えられるのです。
どういう人が得をするか?
所得税は、所得の大きさに応じて段階的に税率が高くなっていく仕組みになっているので、「(配当所得も含めて)自分の課税所得水準がどの税率レベルまで達しているか?」によって、得するかどうかが別れてきます。
課税所得水準に応じた所得税率と、確定申告することで配当金がどれくらい還付されるかの対応は、以下の表のとおりです。
課税所得水準 | 所得税率 | 還付率 |
~195万円 | 5.105% | 15.315% ※ |
~330万円 | 10.21% | 15.315% |
~695万円 | 20.42% | 5.105% |
~900万円 | 23.483% | 2.042% |
900万円~ | 33.693%~ | 申告すると損 |
所得金額が900万円までの人は、確定申告をすることで所得税が還付となるわけですね。
給与所得だけのサラリーマンの場合、年収1,300万円くらいまでは検討の余地があるかもしれません。
住民税の申告には要注意
※2023年分の確定申告より、所得税と住民税の課税方式が一致されることとなりました。所得税を申告するのであれば、住民税も申告することになります。
この方法で還付を狙うときに頭に入れておくべきなのは、住民税は「申告」すると不利なケースが多いということです。
住民税の計算でも「配当控除」はあるのですが、それを考慮しても天引きされた5%が戻ってくるケースはあまり考えられません。
もし住民税を申告することで所得が増えた場合は、連動して国民健康保険料が増えたり、高所得ということで自治体の手当・補助等を受けられなくなったりすることもあるので、要注意です。
【補足説明】
・2017年度税制改正により、配当金について所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが明確化されました。⇒改正により、2023年分より不可となりました。
・配当金以外の所得が赤字~ごく僅少の場合は、住民税も総合所得で申告して還付となる可能性があります。
・分離課税で申告しても、「確定申告しない」場合でも、どちらも税率(税額)は同じですが所得は前者の方が大きくなります。所得が大きくなるのを防ぐため、住民税の観点からは一般的には「確定申告しない」のが有利です。
その他注意点
・給与所得だけのサラリーマンなどの場合「給与所得以外の所得20万円までは所得税の確定申告は不要」というルールがありますが、配当金の確定申告をする場合は、このルールが外れることになります。特定口座(源泉徴収なし)で株式売却益がある人や、副業収入がある人は要注意です。(20万円以下でもこの分を申告する義務が出てきます。)
・所得税は減っても、「所得」が大きくなることでデメリットが生じる可能性があります。(扶養に入れなくなるなど)
・NISA口座を作ってその口座で株式を買えば、そもそも配当金から税金は天引きされないので、配当金目当てで投資する場合はNISA口座も良いかもしれません。
・上場株式の売却損がある場合は、別の方法で申告した方が有利となる場合もあります。(分離課税で申告して、配当所得と譲渡損を損益通算する方法)
・配当所得の計算は、厳密には「配当収入金額-負債の利子」で計算しますが、借入をして株式購入する人はそうそういないと思いますので、この記事では負債の利子は考慮外としています。
・大口株主(持株比率が3%以上)や「非上場株式」は計算方式等が別の仕組みになります。この記事は大口株主ではない人の「上場株式」の配当金について記載していますので、ご注意ください。
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