ウーバーイーツ(Uber Eats)は55万円のみなし経費が適用される?【家内労働者等の必要経費の特例とは】

個人事業主の一部の人には、実際に支払っていなくても必要経費として55万円まで認められる特例があります。

家内労働者等の必要経費の特例」という制度です。

今回は、この制度について解説いたします。

なぜ必要経費の特例が認められるのか?

会社員として給与を貰うと、「収入金額(源泉徴収前の金額)ー給与所得控除=給与所得金額」として所得が決まり、その所得をベースに税金がかかってきます。

この「給与所得控除」の存在はとても大きく、収入金額55万円までは同額が「給与所得控除」の金額となり、その後も収入金額に応じて緩やかに増えていって、MAX195万円まで給与所得控除は増えていくので、会社員にとっては大変ありがたい控除です。

一方で、会社員と同じように特定の者に対して継続的に人的サービスを行っていても、それが「雇用契約」ではなく例えば「委託業務契約」などになると、所得の扱いとしても「給与所得」ではなく「事業所得」(または「雑所得」)になります。

「事業所得」の計算は、「総収入金額-必要経費」です。「給与所得控除」のような概算控除は無いのです。

つまり、同じような働き方をしているにもかかわらず、一方では55万円が控除され、もう一方では控除されないという不平等が生じることになります。

こういった不平等を解消するための特例が「家内労働者等の必要経費の特例」というわけです。

どのような人が特例を受けられるのか?

この特例の適用を受けられる人は、以下のように説明されています。

家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人。

国税庁タックスアンサー:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1810.htm

悩ましいのがこの「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う」という所です。

よく具体例として挙げられるのは、「ピアノ教室を開業していて一般に生徒を募っていれば当然この特例の対象外だが、ヤマハのピアノ講師ならこの特例の対象になる」という話です。

講師は「ヤマハ」という特定の者に対して、継続的に人的サービスを提供していますからね。

この特例の対象となる人は、他には以下のような具体例が考えられています。

…この「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」という場合の「特定の者」は、必ずしも単数の者をいうのではなく、人的役務の提供先が特定している限り複数の者であっても差し支えないが、人的役務の提供先を広く募るなど、その業務の性質上、不特定の者を対象として人的役務の提供をする場合における人的役務の提供先は「特定の者」に当たらないこととされている。したがって「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」には、損害保険代理業やクリーニングの取次業、写真現像焼付の取次業、宅配便の取次業を行う者は含まれるが、学習塾経営者や弁護士、税理士は含まれないことになる。

2012年7月「事業所得者の課税のあり方の検討」P447【国税庁・税大論叢72号】

人的役務の提供先が特定している限り複数の者であっても差し支えない」というのも重要なポイントですね。

これらの具体例や解釈に基づくと、ウーバーイーツ(Uber Eats)やクラウドワークス・ランサーズなどのクラウドソーシングも、この特例の対象となる余地は十分にありそうです。

注意点

給与収入金額が55万円以上ある人は、この特例を適用することはできません(給与所得控除を55万円受けているため)。給与収入金額はあるが55万未満の人は本特例を適用することはできますが、給与所得控除と合わせて55万円を超えることはできません。

青色申告特別控除(最大65万円)と併用できます。

・収入金額以上に、みなし経費を計上することはできません。

・この特例は申告要件がありません。つまり、本特例を適用した結果「確定申告が必要な人」の条件に当てはまらない方は、所得税の確定申告をする必要はありません。

・ウーバーイーツやクラウドソーシングへのこの特例の適用については、税務署からの公式見解は示されていません。個々人の状況にも依りますので、一概に「本特例を適用できます」と断言できるものではないため、適用可否については所轄の税務署等にご相談ください。