家族に給与・賞与を支払って節税する【個人事業主・法人の節税策】

一般的な節税策として、「家族に給与・賞与を支払って、所得を分散させて節税する」というものがあります。

日本の所得税制度は、代表者一人でガッツリ稼ぐよりも、その稼ぎを複数人で分けた方がトータルの税金が少なくなるものになっているためです。

(制度の解説についてはこちらの記事をご参照ください。)

今回は、この節税策の注意点について解説いたします。

個人事業主の場合の注意点

こちらの記事にも書いているのですが、個人事業主の場合「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を、新たな専従者の発生から2か月以内に提出することが必須です。

そして、その書類に記載した金額を超えて支給することは認められません

書類に記載した金額の範囲内であっても、職務内容からして「不相当に高額な部分」はNGとされていることにも注意が必要です。

さらに、例えば配偶者に給与を支払うようになると、事業主の方は「配偶者控除」を受けられなくなる点にも留意しましょう。

法人の場合の注意点

法人が家族を「従業員」として給与・賞与を支払う場合は、特に事前の届出は必要ありません

金額を変更するときも変更届を出す必要が無くなるので、この点は楽といえるでしょう。

さらに、個人事業主とは違い、代表者が配偶者控除を受けることも可能です。

ただ、個人事業主と同様に「不相当に高額な部分」はNGとされているので、この点は注意が必要ですね。

そして、法人の場合の特に注意すべき点として、配偶者等が「みなし役員」に該当するリスクというものがあります。

「みなし役員」とは?

同族会社の使用人で「経営に従事している」場合は、役員として登記されていなくても法人税の世界では「役員」とみなして取り扱う、というルールがあります。

このルールによって「役員」とみなされた人を、一般的に「みなし役員」と言います。

「みなし役員」に該当するとどんなデメリットがあるか?

役員に対する給与・賞与の支給は、法人税の計算上厳しく取り扱われます。

給与の金額は基本的に1年間変更不可能だったり、賞与は基本NGとなったり、などです。

(取り扱いの詳細はこちらの記事をご参照ください。)

「経営に従事している」かどうかの判定は?

問題は「経営に従事している」かどうかの判定になってきますね。

しかし、「●●に該当したら経営に従事」のような形式的な判断基準は、法令には示されていません

ただ、過去の採決事例を見ると以下のような要素がポイントとなっているので、これが参考になるでしょう。

・経営方針、貸出機械等の料金を決定しているか
・資金計画、基本的資材購入を決定しているか
・従業員等の採用、支給給与、賞与の額を決定しているか
・借入を決定しているか
・仕入、販売計画(方針)を決定しているか

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