事業所得と雑所得の区分(その3)

前回の記事では、事業所得と雑所得の区分の判断で考慮される要素①~⑧を説明しました。

① 営利性・有償性の有無
② 継続性・反覆性の有無
③ 取引の種類
④ 取引における自己の役割
⑤ 取引の為の人的・物的設備の有無
⑥ 資金の調達方法
⑦ 取引に費やした精神的、肉体的労力の程度
⑧ その者の職業・社会的地位

これらを「総合勘案」して、事業所得なのか、雑所得なのか判断されることになります。
果たして「総合勘案」とは何なのでしょうか?

①~⑧の全てを満たさなければ、事業所得とは認められないということでしょうか?

この点について、人絹(合繊繊維のレーヨンのことです)先物取引の所得区分について争われた事例で、裁判官は以下のように述べています。(S43.2.28名古屋高裁判決)

「事業とは如何なるものかについてはこれを定義する規定はなく所得税法の解釈として理解しなければならないところ、右各規定によれば、「事業」は、営利を目的とする継続的行為であって、社会通念に照らし事業とみられるものをすべて含み、特に事業場を設置したり、人的物的要素が結合した経済的組織によるものであることを必ずしも必要としないし、またその者の本来の業務あるいは職業としてなされる場合であると副業的なものとしてなされる場合であるとを問わないものと解するのが相当である。」

つまり、①~⑧の全てを満たすことが求められているわけではないと言っているのです。

となると、事業所得の雑所得の区分は、本当に曖昧なものということになります。
本業/副業も問わないし、設備の有無も問われないのですから。

適当な副業で赤字を作り出すことが簡単にできてしまいそうです。
税務署はそんなことを許してくれるのでしょうか?そんなわけないですよね。

2013年2月15日、東京地検特捜部は、とある脱税コンサル会社の社長を逮捕しました。
次回へ続きます。