短期前払費用(家賃等の年払い)による節税【個人事業主・法人の節税策】

世間一般に知られている節税策の一つとして、「短期前払費用(家賃等の年払い)」という節税策があります。

今回は、この節税策について概要や注意点を解説いたします。

なぜ年払いすると節税になるのか?

原則的な考え方としては、来期の分の経費を当期に前もって支払っても、それを当期の経費とすることはできません

支払のタイミングは関係ない」というのが経費認識の大原則ではあります。

一方で、法人税・所得税のルールで「短期前払費用」というものがあります。

これは、「処理をシンプルにするため、一定の前払いは支払ったときに経費にしてもいいよ」というものです。

したがって、期末日が近づいて利益も大きくなりそうだと分かった時に、この短期前払費用のルールに基づいて、当期の経費を増やすことも可能となるわけです。

短期前払費用の要件は?

以下のすべてを満たすものが、「短期前払費用」に該当するとされています。

①一定の契約に基づいていること
②継続的にサービスの提供を受けるために支出した費用であること
③支払った日から1年以内に提供を受けるサービスに係るものであること
④継続してその支払った日の属する年度の経費にすること
⑤収益と対応する費用でないこと

(法人税基本通達2-2-14、所得税基本通達37-30の2)

以下、これらの要件を解説します。

①一定の契約に基づいていること

一方的な前払いはNGということですね。

例えば家賃の場合、大家さんの了承無く勝手に前払いしても、それは認められないということです。

②継続的にサービスの提供を受けるために支出した費用であること

期間を限定して、サービスの提供を受けるものはNGということです。

例えば、数か月の間に限定して行う広告宣伝費用などはNGということになります。

また、「サービスの提供」に限られているので、例えば雑誌購読(=「雑誌」というモノの受領)などもNGということになります。

さらに、「顧問料」のように月によってサービスの量や質に違いが出てくるものもNGとされています。

③支払った日から1年以内に提供を受けるサービスに係るものであること

例えば11月に、翌年1月~12月分のサービス利用料を支払ってもNGということです。

翌年12月分は、支払った日(11月)から1年を超えているためです。

④継続してその支払った日の属する年度の経費にすること

黒字のときだけ年払いして、赤字のときは行わない・・という都合の良い方法はNGということです。

⑤収益と対応する費用でないこと

物件を借りて、それを誰かに転貸している(=ダイレクトに売上に繋がっている)というケースの場合は、このルールを使うのはNGということです。

どのようなものが「短期前払費用」になるのか?

・家賃
・保険料
・システム利用料

などが、短期前払費用のルールを適用しやすいものの代表例となります。

家賃の年払いは大家さん等との交渉が面倒になりますが、保険料システム利用料は年払いに変更しやすいケースが多いので、これらの検討の余地は大きいですね。

短期前払費用の注意点

当然ではありますが、前もって料金を支払う分、手元から現金は減っていきます

これは一つのデメリットと言えるでしょう。

そして忘れてはいけないのは、これは「経費の先取り」に過ぎないということです。

どこかのタイミングで資金的に余裕が無くなったりして、年払いから月払いに変更したときは、その年度の経費は少なくなってしまうので、注意しましょう。

さらに、決算書に与える影響度が大きすぎるとこの処理は認められません

企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるというのが、この「短期前払費用」通達の趣旨であるためです。

例えば、販売費及び一般管理費42億円ほどのうち2.1億円ほどを短期前払費用として計上した結果、これが認められなかったという事例もありますので、注意する必要があるでしょう。(東京地裁平成17年1月13日判決)

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