ホームページの制作費用について(国税庁タックスアンサーNo.5461)
今はもう掲載削除されてしまったのですが、以前は国税庁のサイトに以下のようなQAが公開されていました。
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インターネット上に広告宣伝用のホームページを開設しました。その制作のために業者に委託した費用は、広告宣伝費等として一時の損金にするのでしょうか。それとも、繰延資産として償却するのでしょうか。
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通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。
また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。
原則としては、支払った時の経費にしてOKと言っていますね。
そして、「使用期間に応じて償却」のケースは、作成後の更新はサポート対象外の契約でホームページの制作依頼をするケースなんかをおそらく想定しているのだと思いますが(結果として更新しなかった場合に、遡って過年度の会計処理の修正が求められるというのはさすがに無理難題であるため)、そのようなケースはほとんど無いような気がします。
悩むのが、ホームページ制作費用に含まれる「プログラムの作成費用」とは何なのか?という点です。この部分は資産計上が必要とのことで、区別する必要があることになります。
これに関しては、以下のような専門書の解説があります。
例えば企業の持っているデータベースにアクセスできる機能を有しているホームページや既存の企業内ネットワークと接続できる機能を有するホームページなどがあります。これらのホームページの制作費用の中には、データベースやネットワークとアクセスするためのプログラム(ソフトウェア)の作成費用が含まれていると認められます。
(「減価償却費資産の取得費・修繕費」、2016年6月、税務研究会出版局 より。)
…そうすると、例えばECサイト(商品をカートに追加⇒注文・決済までできるようなHP)なんかも制作費用の一部は資産計上の対象になりそうですね。
「お問い合わせフォーム」なんかはプログラムの作成費用に該当するのか微妙な感じはしますが、せいぜいボタンを押したらメールが発信される程度のシステムであれば、プログラムというよりも単なるhtmlのタグに過ぎないと思うので、これは「プログラムの作成費用」には当たらないように思います。(私見です。)
…と考えると、大半の企業のHP製作費は資産計上不要な感じがしますね。
結論としてはそんなところに落ち着くのですが、さてなぜこのタックスアンサーは掲載削除されてしまったのでしょうか?
国税庁の見解が変わったのか?
「週刊T&Amaster No.1004(2023年11月、新日本法規)」によると、掲載削除されたのは決して国税庁の見解が変わったからというわけではなく、法人税上の取扱いは未だ掲載時のまま(課税当局に対する取材により確認)とのことです。
それでは、なぜ掲載削除したのでしょうか?
このQAに対する質問対応が大変だったのか?
もしかしたら、このQAに対する質問電話が頻繁にあり対応が大変だったのかもしれません。
納税者としては、自分(自社)自身が作成したホームページの制作費用についてまさに悩んでいるわけなので、「うちが制作したHPにはこういう機能があるのだが資産計上が必要なのか?」という個別具体的な相談をすると思います。適正に申告納税しようとしているからこそ問い合わせているわけで、何も悪くないですね。
困ることになるのは、この問い合わせに対応する国税庁スタッフです。HP制作に関しては、より専門的なITの話になる可能性も高いわけで、税務には詳しくてもITのことなんかさっぱり分からないという国税庁スタッフは多いのではないでょうか。
それで色々と面倒で嫌になって、掲載を引っ込めたのかもかなと個人的には考えています。
…いずれにせよ、国税庁の見解が変わったわけでもないのに掲載を引っ込められると、「あのタックスアンサーを確認したいのにもう見られないから困る」という人もいると思いますので、その意味も含めて今回は記事にしました。
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